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図7.2 WBTとCOTのSide Longitudinalの損傷SN線図の比較

 

7.3 腐食に関する塗装および電防の影響
7.3.1 塗装の影響
現在バラストタンクにはタールエポキシ塗料が使用され、仕様に注意すれば優れた防食性能を発揮する。最近ではいく例がの事故を契機により高い仕様を規則化する動きがあり、またタールの公害性と検査のしやすさから黒いタールに変わって変成エポキシなどを素材とした明るい塗料が開発・使用されつつある。
塗装性能に影響を及ぼす要因としては、下地処理、塗回数、膜厚および湿度、換気、乾燥などの施工条件がある。高性能を維持するにはほぼ以下の条件が推奨される。下地処理はJSRA Sh2のショットブラストを一次処理とし、ショッププライマとパワーツールによる二次処理が良い。塗り回数は一回より二回の方がよいが、乾燥膜厚200〜300μ程度で比較的良い防食性が保持できる。施工においては5℃以上の気温と結露しない湿度および乾燥しすぎぬ塗装インターバル、主剤と硬化剤の機械混合によるむらのない配合を配慮する必要がある。
塗装不良の生じやすい箇所は、フリーエッジ、隅肉溶接部や骨部材の裏面などである。
フリーエッジはシャープになり膜厚が薄くならぬようにコーナーに2〜3cのグラインダがけなどをするような配慮が望まれる。隅肉溶接部や複雑な箇所は塗りにくさから被膜が保持しにくく先行刷毛塗もしくは後塗などの処理が好ましい。骨部材の裏面は時として所定の半分の膜厚になることがあるが、施工時期と方法の工夫により上向きの塗装施工にならぬような配慮が望まれる。
バラストタンクの塗装は全面塗装が一般的であるが、温度の高くなるトップサイドタンクや相対的に腐食代の小さい高張力鋼では特に全面塗装が望まれる。またタールエポキシは50℃を超えると防食性能が急激に落ちるが、荷油の加熱管の近傍では配置・防熱により塗装部分の温度を50℃以下にするような配慮が望まれる。

 

7.3.2 電気防食の影響
電気防食は周知のように淡水部分のみに有効な防食手役である。電気防食のみでの防食が有効な場合もあるが、一般的には乾湿の繰返される部分での腐食例が多く最近の規則では原則として塗装による防食手段が講じられる。しかし、塗装との併用は防食に有効な方法である。タールエポキシ塗料は防食性は優れているが、タンク内の構造は複雑であり所定の膜厚の得られない箇所も多い。また塗装作業などでのメカニカルダメージは避けられない。従って欠陥部分の発錆を防止するために電気防食の併用が望ましい。
バックアップアノードとして電気防食をタールエポキシ塗料と併用する場合の適正電流密度は5mA/?程度である。
さらに、7.1で示した経年変化でcC以下になった時点では電流密度を見直すなど適正なメインテナンスにより船台20年程度の良好な防食状態を保持できる。

 

 

 

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